英検®新試験で導入される英文要約問題はこうやって乗り切ろう!
英検®の要約問題攻略法
実用英語技能検定(英検®)が2024年度より問題形式リニューアルするということで発表がありました。
大きな変更としては、英作文がこれまでのエッセイライティング(英文意見論述)の出題に加えて、サマリーライティング(英文要約問題)を出題するというものです。
これは2024年度第1回検定より適用され(S-CBTは2024年度5月実施分より適用)、対象は1級、準1級、2級が対象です。(英検®準2級・3級は手紙文のライティング問題が追加されます)
さて、この問題を解くうえで何を意識して解答を作るべきでしょうか?
ここでは、合格点を確保しつつ、全体的な特典を底上げするためのいくつかのポイントを挙げておきたいと思います。
1)タイムパフォーマンスを意識する
ライティングセクションは素点が低いにもかかわらず、与えられている得点は、英検®準1級を例にすると、CSEスコアにおいて750点という高い得点が与えられています。
したがって、1点当たりのCSEスコアへの影響が非常に大きいということが言えます。したがって、あまり失点を重ねると大きく減点されるという特徴があります。
とはいえ、長文読解や単語熟語問題にも十分な時間を割く必要があるため、英作文だけに時間を費やすのは、全体的な得点アップを考えるとよいやり方とは言えないでしょう。
まして、これまで課されていたエッセイライティングもありますし、むしろこちらのほうが素点は大きくなると考えられるので、要約型のライティングにそれほど時間をかけることはできないということをあらかじめ押さえておく必要があります。
2)文法がガタガタでも、押さえるべきメッセージをしっかり盛り込む
要約において重要なことは、「押さえるべきメッセージをきちんと盛り込んだ内容の英文を作ること」です。では、押さえるべきメッセージとは何でしょうか?
2024年6月現在、英検®の公式ウェブサイトにはサンプル問題が紹介されています。その中で準1級の問題を見てみましょう。
ここで書かれている内容を要約するならば、次のポイントを盛り込む必要があります。
1.かつてイギリスの国立博物館には入場料が課されていた。
2.しかし、2000代初頭から政府の財政支援によって、それが無料となった。
3.その結果、多くの国立博物館の入場者数が増えた。
4.この政策の支持者は、人々が博物館のさまざまな芸術作品を楽しみ、イギリスの文化の歴史を学ぶ機会を得ることができると称賛する。
5.一方批評家たちは、来訪者の増加は同じ人が繰り返し訪れているにすぎないとしている。
6・また、政府の支援を受けていない博物館はこの政策のせいで、財政難に直面している。
ポイントをわかりやすくするために箇条書きにしましたが、触れるべきメッセージは上記の6つになるでしょう。これを見ていただいてわかる通り、書くべきメッセージは「①背景(「何をした」→「どうなった」、という事実)・②評価(施策や現状についての賛成意見と反対意見、または期待と懸念)」といったところになるでしょう。これらを問題文で指定されている60ワードから70ワード程度でまとめることになります。
いくら元の英文を60~70ワードに圧縮しても、上記のメッセージを含まなければ要約ができているとは言えません。そのためにすべきこととしては、「何がポイントになるのかを英文を読みながら線を引く」といったことや、「ポイントを雑な字でよいので、箇条書きでメモをとる」といった工夫は必要だと思います。
一方でそれほど時間をかけられないわけですから、英文法などは語順や修飾ー被修飾の関係、主語ー述語の関係を間違えなければ、細かいところはミスが出ても仕方がないと割り切ることも必要になるでしょう。
3)盛り込むべきメッセージをまとめるときに、積極的にパラフレーズする
ここまでの話をまとめると、「要約文に含めるべきメッセージをきちんと入れること」、「タイムパフォーマンスを意識して、ムダに時間をかけないこと」、「その代わりに細かな文法的なミスや誤りには目をつむっても良い」といったことを述べてきました。
ただし、もう一つ重要なポイントを付け加えておきたいと思います。
問題文を見ると、「できる限り自分の言葉で」という注意書きがあります。つまり、本文の表現をつぎはぎして書くだけではダメだとくぎを刺しているわけです。
ということは、要約で使う表現はできるだけパラフレーズする(意味はほぼ同じだけれども、使われている表現が異なるようにする)必要があります。
たとえば、”We went to see a movie. We had a lot of fun.”という表現を”We enjoyed a film.”とパラフレーズすることが大切だということになります。
もちろん、具体的な名詞などはパラフレーズしようがないということもあるので、あくまで「できるだけ」表現を自作していればよいということになります。特に、動詞や形容詞、副詞はパラフレーズすべき表現の有力候補になるでしょう。
以上をまとめますと、
1.本文の要旨となるポイントを確実に拾って、解答に盛り込む。
2.タイムパフォーマンスを意識して、あまり完璧さにこだわりすぎないようにする。主語-述語の関係・修飾-被修飾の関係・語順は間違えないように推敲し、それ以外は間違っていても仕方がないと割り切って時間のロスにならないように気を付ける。
3.ただし、パラフレーズはできるだけ行い、本文の表現のつぎはぎだらけにしない。少なくとも、動詞・形容詞・副詞などはパラフレーズする。
ということになります。
要約については上記のポイントだけを踏まえておき、できるだけエッセイライティングや長文読解に時間を割けるように準備しておきましょう。