共通テストで失敗してしまう人あるある(英語編)

共通テスト(英語)でこけてしまった、、、

国公立入試においてのみならず、私立の入試においても共通テストの点数は高いに越したことはありません。中でも英語はリーディング・リスニングともに、絶対に高得点を取らなければならないという条件に置かれている人も多いのではないでしょうか?

にもかかわらず、毎年と言ってよいほど、本番でこけてしまう人が結構な数おられます。

「直前の本番模試では8割取れていたのに、実際の本番ではリスニング7割・リーディングは6割しか取れていない、、、、何がいけなかったんだろう、、、、」

こんなケースはよく見かけるものです。

共通テスト(英語)でやらかしてしまう人には特徴がある!

しかし、講師から見れば、これはこのまま本番に突き進んだら結構危険だなと思う場合も結構あります。
いくつかその特徴を挙げてみましょう!

(1)模試の成績と同じ結果が本番で出てくると思っている。

(2)精読の経験をきちんと踏んでいない。

(3)語彙力がもろい。

(4)全ての問題で点数を取ろうとしている。

(5)わかった気になって学習を進めている。

模試の成績と同じ結果が本番で出てくると思っている!

入試本番までに模試の結果だけで、本番の成績を予想するという受験生は結構おられるのですが、そもそも模試と入試問題では「作りの深さ」が違います。
単純に考えてみましょう。1年に1回行われ、国が主導して行っている試験で、かつそれは何百人単位でその試験を作成しているものと、ある会社が数人で、2,3か月に1回行われる試験を作成するのでは、どちらが難易度が高いでしょうか?
どちらの試験の方が、時間を奪われ、得点を伸ばしにくいでしょうか?
もちろん前者の試験です。これが本番の共通テストと模試の違いです。

塾や予備校が作る模試問題というのは、形を似せることができても、ひっかけの作り方や長文自体の素材にどうしても深さを出すことに制限がかかります。なので、こういったもので高い成績が出たからといって、本番で出される「深いひっかけを加えてくる」や「タイムマネジメントを狂わせる」試験で、期待通りの点数が出るとはいえません。

共通テストで成功したい場合は、あくまで過去問を踏まえた演習を行う必要があり、塾や予備校のマーク模試は参考程度にしておくべきだと言えます。

 

精読の経験をきちんと踏んでいない!

準備の段階で重要なポイントとして、精読力と語彙力があります。
共通テストは英語に限らず、時間に追われる試験です。
そのため、英語のリーディングに関して言えば、速読の重要性が強調されがちです。

しかし、ここに落とし穴があります。
速読をすれば時間を間に合わせることができそうですが、その分、内容に対する集中と理解度がおろそかになってしまいます。
もちろん、ゆっくり読めば理解はできるとおっしゃるでしょうが、一方で時間内にすべての問題が解けなくなるというリスクを抱えることがあり、そのリスクは何としても避けたいというところだと思います。
そのため、速読ということにこだわって学習を進めてしまいがちです。

しかし、本番で失敗しないためには、やはり「高い理解度をキープしたうえでの速読」でなければなりません。
ここについては、受験勉強の段階でぜひこだわってほしいと思います。
極端なことを言えば、「遅くても正確に間違いなく、誤訳せずに読める読解力を発揮する」ことを大切にして、速読はそれが完成して、自信をもって精読できるようになってからで遅くありません

なぜならば、本文をいくら速読ができたとしても、理解が十分でなければ、正しく解答を選べません。
また、ひっかけにまんまと引っかかるリスクが増大します。
さらに、選択肢を選ぶときに、理解ができていなかったり、勘違いをしていたり、自分でストーリーを脳内ででっち上げていたりしている可能性が高まるため、選択肢と本文を行ったり来たりする回数が増えたり、解答を選ぶときに迷いがちになるからです。
そうなると、本文自体を早く読めても、解答時間を多く費やすことになり、結局時間に追われることになります。もちろん正答率も悲惨なものとなるでしょう。

このように、鉄壁の精読力をつけずして、速読に走るのは安易な準備をしてしまうことになります。
そもそも、「何を知るべきなのか?」「何を読むべきなのか?」「状況はどうなっているのか?」ということが正確に把握できていれば、おのずと早く読むことになり、それが速読につながるものなのです。
大切な姿勢は、正確に読む力を当たり前に発揮できるように訓練しておいて、「何を知るべきなのか?」「何を読むべきなのか?」を問題文や選択肢から把握しつつ、内容の展開を早く知ろう、求めるべき内容を早く正確につかもう、という意識から生まれてくるものだということを忘れないようにしてほしいと思います。

できる人はそれらがあっての速読の重要性を唱えているのですが、苦手な人や安易な方向性にしがみつきたがる人は、この真意をきちんと理解しないまま、学習を進めがちなので、ぜひ気を付けてほしいと思います。

語彙力がもろい!

意外なことに、語彙力が低すぎて成績が上がらないという、至極単純かつ当然な状態のまま受験に臨んでいる方も多いです。

英語の語彙力は、失礼ながら、受験をするということに対して本気度が試されます。つまり、「英語の語彙力がない」=「本気で受験勉強ができていない」ということです。

定番の単語集を1冊覚えきれていない人は、まず最初にこれから取り組む必要があります。仮に英文法の勉強もやっている、英文解釈の勉強もやっている、英作文も、、、という状況であっても、すべての英語の学習を止めて、まずは1500語~2000語程度の語彙力をつけるようにしてください。

語彙を覚えるにはコツがいくつかあるので、ぜひ次のコツを意識して学習してください。

コツその1.必ず単語は正確に音声化できるようにすること

essentialは「エッセンシャル」といつも読めるようにしてください。発音が悪くても大丈夫です。大切なのは安定的な音声化(=音読)です。「エセンシュル」になったり、「エッセンタール」になったり、なんて不安定な状況を放置するのはやめましょう。確実かつ安定的な音声化ができることこそ、暗記実現への第一歩です。

コツその2.単語を音声化した段階で、その単語の意味にまつわるイメージや映像が思い浮かべられるように訓練すること。

waterという単語を音声化したら、蛇口から水が出てくる絵が思い浮かぶ、、、sportという単語を音声化したら、プロ野球の試合やプロサッカーの試合の映像が出てきたり、運動系の部活をしている人は自分がプレイしているときの映像が出てくる、、、こういった状況になるまで、単語と訳を交互に音読してください。

コツその3.単語を音声化して1秒以内に、その日本語訳を声に出して言えるようにすること。

「忘れる・忘れている」とは「思い出せない・思い出すのに時間がかかる」という状況です。つまり、逆に言えば「すぐに正確に解答が言える」=「覚えている・思い出せる」となりますから、意味の想起スピードを1秒以内に定めることは極めて重要です。どの科目でも使えるので、このような意識をもって暗記トレーニングに励んでください。

コツその4.関連語・反意語・語源を駆使して記憶を結び付けておく

essentialは「必要不可欠な・必須の」という意味ですが、平たく言うと「非常に重要・欠かせない」ということですから、似たような意味になるimportant / significant / indispensible / key / crucial / critical / vital などと一緒に関連付けて群れにして覚えておくとよいでしょう。また、反意語は「重要でない・取るに足らない」ということなので、trivial / unnecessaryなどがあります。このように関連語・同義語・反意語のグループを使って整理しながら覚えていくと覚えやすく忘れにくくなります。
また、語源を駆使するということも有効な場合があります。
continentは「大陸」という意味ですが、“contin-”の部分が、continue(続く・続ける)と同じなので、意味も同じになってきます。語源を調べると、continentは「陸がずっと”続く”」ということで「大陸」となったということですから、”contin-”が「続く」とわかれば、あとはストーリーやイメージを作っておいて覚えることができますね。
このような工夫をしっかり使っていきながら記憶していくことが大切です。

コツその5.少しずつコツコツよりも、たくさんをダイナミックにチェックしていく。

また、毎日10語ずつよりも、30語や50語、100語といった分量を頭に引っかかる部分だけを復習しながら、さっさと最後のページまでにある単語に触れるようにしていくと効率的かつすばやく暗記できます。単語集の単語暗記は、チマチマやっていくよりも、ダイナミックに何度も回す方が覚えやすく忘れにくくなるのでお勧めです。

全ての問題で点数を取ろうとしている

最初のうちは時間が間に合わないという課題がなかなか乗り越えられないということが多いと思いますが、だからといって、すべての大問を解こうとすると、すべてが中途半端な結果になることもしばしば発生します。

したがって、最初のころは割り切って、解くべき大問を絞って、それだけに時間と集中を割り振ってほしいと思います。そして、そこがある程度攻略できて来たら、時間を絞っていっても点数が下がらないようにトレーニングします。ほしい点数が取れて、時間を絞って解くこともできたら、初めてもう大問1問分を解くようにする、、、といったチャレンジをしていってほしいと思います。

ついでながら、英語以外の強化も含め、共通テスト本番でやってはいけないことを1つ!
それは「これまでに受けた模試で、各科目の自己ベストが出たときの点数を本番でとろうとするな! 」ということです。
例えば、7月の模試で英語が180点取れたという自己ベストを打ち立てたとします。また、10月の模試で数学ⅠA・ⅡBで175点が取れたとします。だから本番で、英語180点・数学175点をとる!という目標を立てると、とんでもない失敗をすることにつながりかねません。

自己ベストはたまたま運よく取れたという要素も含んでいますから、それを当たり前にとれるものととらえると、正確に行き過ぎて時間を浪費したり、最後まで集中が持たなくなって、途中で緊張の糸が切れてしまうという大惨事につながるミスをしてしまいがちです。

本番は、これまでの模試の結果の平均点ぐらい取ればいいや!という気持ちで受けた方がよい結果が出るものです。ということは、上位校を狙うのであれば、あらかじめ平均点が高めに出るように調整しておかなければいけません。これが「受験勉強・受験の準備」というものです。

わかった気になって学習を進めている!

学習が進み、模試を受けたり、問題集を解いたりしてくると、共通テストといえども攻略の筋道が見えてきたような気になってきて、負担も減ってくることでしょう。

しかしそれって本当に実力がついているといえるでしょうか?

ひょっとしたら、ただ単に「慣れただけ」ということも考えられます。

そうなると本番でとんでもない肩透かしを食らわされて、ありえないような失点をしてしまうことも発生しがちです。

「後で見返すとなぜあれが解けなかったのか訳が分からない!!!」
こうした状況に陥ったことがある人は、「それまでの勉強はただ慣れるためにやっていただけで、本当の実力はついておらず、本番の結果でメッキがはがれる」というリスクを真剣に考えておくべきでしょう。

ではこういった状況に陥らないようにするにはどうすればいいのでしょうか?

それは「記述問題として共通テストの問題を解いたり、記述問題の演習量を増やす」という風にすべきです。要するに、「誘導なし、ヒントなし、選択肢なし」の状況で、問題を解いて解答を自力で作るという作業をやってみることをお勧めします。

これは数学や理科などの理系科目でできるということもありますが、文系科目でも、例えば、現代文は選択肢を見る前に、自分で解答を書いてみて、それに近い選択肢を選ぶようにするとか、英語も同じように記述のように英語で解答となる選択肢を書いてみる、という作業を入れて解答選びをするようにした方がよいでしょう。

これはとても時間がかかりますが、ごまかしのない力がつきます。
こういった練習もしておきたいので、基礎力を付けるのはできるだけ早めに仕上げておきたいところです。